10月「手段と目的」

今月の一日は、幼きイエスの聖テレジアの記念日なので、彼女の短い生涯からひとつ学んでいきたいと思います。

テレジアは1873年1月2日フランスのアランソンで、信心深い家庭に生まれました。当時の社会も教会も今と比べたら随分違っていました。特に教会では厳格主義の面があり、聖人のことを考えた時、頭に湧いてきたのは、厳しい苦行によって自分の体を痛めつけ、そして奇跡を行う人だけが聖人になるということでした。

テレジアは、ある日次のようなことをおっしゃいました。「現代ではいろいろな発明がされています。昔は、高いところに行くには長い階段を登らなければなりませんでしたが、今はエレベーターができたので簡単になりました。神様の近くに行くのに、私は長い階段は登れないので、エレベーターのようなものはないのでしょうか」 と。

彼女にとって、その精神的なエレベーターとは、結局神と人を愛することでした。今の教会ではその考え方は普通になったのですが、あの当時は先ほど言ったように、精神的に進歩するために強調されていたことは、犠牲することが中心でした。しかしテレジアが聖書を読みながら自然に理解したのは、聖人になるためには犠牲ではなく愛であるということで、そのことを生活をもって証しました。

キリストについていくには、犠牲が必要ですが、それは手段であって目的ではないと悟りました。そこに聖テレジアの偉大さがあるのです。もちろんその生き方は聖書の心ですが、でも時々教会の中にも目的と手段がこんがらがってしまう事があると思います。

聖テレジアは本来の信仰の精神を取り戻したのです。後に彼女は1897年に24歳の若さで亡くなり、100年後教会博士として教会から認められました。

わたしたちの生活も手段と目的が逆にならないように、お互いの為に心から祈りましょう。

マリオ・バラーロ神父